如何ともしがたい何か

便所の壁に殴り書き

きれいな言葉でごまかす文化はご勘弁

 弊社におきましても、一番の固定費であるところの人件費を削るという意味合いで、現場の人員がどんどんと減らされるという憂えるべき事態に入っておりまして、現場の人間としてはとてもつらい思いをしているものでございます。

 どうにもこうにもいわゆるオートメーション化ができないタイプの仕事をしているだけに、現場の人員削減とはなんともかんともストレートにダメージがあるタイプのリストラ施策でありまして、しかもかくいう自分は一番下っ端でございまして、この辺りの影響が如実にぶつかてくるタイプの立ち位置にありまして、やっぱりつらい思いをしているものであります。

 会社側は「少数精鋭で」と言っておりますが、まあなんというか便利な言葉の使い方でして、自分のような精鋭要素がない人間にとってはとても風当たりの強い環境でございます。冷たい視線が360度各方面からございまして、正直なところ職場に居場所がございません。

 さて、「少数精鋭」という単語の使い方も功罪ありまして、場合によっては人員削減、ひいては人の働き方というものについての議論を強制的に終了させる怖い単語だと思っております。

 百歩譲って人員削減を飲むとしましても、ではそこからの労働時間や態勢、仕事の内容のあり方など、労務管理の観点からさまざまな議論をするべきであろうと考えております。しかしながら、「少数精鋭でよろしく」と言われますと、言う方は評価や期待も込めているのかもしれませんが言われる側は釈然としないものもあったりするわけでございます。

 といいますのも、「少数精鋭」という本来は前向きな意味を持つ単語を前に押し出すことで、労務管理への説明責任を、故意かどうかはともかくぼやかすといいますか、ごまかすといいますか、きれいな言葉で本質を隠されてしまったような思いをしてしまうのであります。

 「ここの部署は少数精鋭だから」と激励されるようなことは確かに励みにはなるかもしれませんが、人員削減の理由の一つとしてあげられるのは正しい言葉の用法ではないのではないかと思っております。

 とはいえ、厳しい経済状況、および弊社の財務環境も知悉する立場からいたしますと、「少数精鋭」で頑張らないといけないのかなとも思ったりするのであります。ちょっとだけですけど。

 いずれにせよ、前向きな意味の単語を使って本来するべき議論を打ち切ってしまうような風潮は、弊社に限らずいろいろなところで見られる現象でありますので、注意して本質を見極める努力はしていきたいところであります。

 オチはなし。