如何ともしがたい何か

便所の壁に殴り書き

洗練された「小さなコツ」ってすごいねっていう話

 先日、元プロ野球選手だった人が、少年野球の選手たちにアドバイスするという野球教室を見る機会があった。

 もちろん横で見ているだけ。しかし、端で見ていて面白かったのは、ほんの小さなアドバイス、というか「コツ」を教えるだけで子どもたちのバッティングやピッチングのクオリティががらりと高まるという光景だった。

 例えば、投手の動きに合わせてほんの少しテイクバックさせるという話。何気ないコツではあるが、話を聞いた直後にバットを握った子どもはすぐに外野へと打球を飛ばすようになった。

 元プロ野球選手ということもあり、小さなコツの裏には膨大な練習や試合での体験がある。その膨大な経験から生まれた小さなコツの力を感じたのだった。ほんの小さなアドバイスではあるが、内容は濃い。膨大な経験があるから内容が濃い。洗練されている。

 長い歴史がもたらす小さなコツといえば、例えばことわざのようなものがあるけれども、たまに誤用されたり拡大解釈されたりとちょっと普遍性が広すぎる。しかし、今回のような野球教室での元プロ選手のアドバイスは活用する範囲が狭く、かつ具体的であり効果が非常に高いと感じた。

 ことわざやライフハックもいいけれども、そういった範囲は狭いものの破壊力がある「コツ」をもっと知る機会にめぐまれればいいなあと、目を輝かせる子どもたちを見ながら感じたのであった。