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如何ともしがたい何か

便所の壁に殴り書き

やらなくてはいけないことに踏み出せる、その能力を高める方法についての話

memo

 何かに取りかからなくてはいけないのに、その第一歩に踏み出せない人がいる。仕事も勉強もいろいろだがなぜか「踏み出せない」。やらなければいけない、あるいはやろうと思っているのに「踏み出せない」。すごくわかる。自分もそういう人間だからだ。だからずっと、それをいかに克服するか考えてきた。

 こういう時に一番効果が無いのは「気合いを入れる」などという根拠のない精神論だ。サルかチンパンジーが服を着た程度でしかない体育会系の馬鹿がよくこう言うのだが、相手にしなくていい。なんせ思考停止でしかない獣の理論だから。

 とはいえ理屈で考えてもできない。だから悩んでいるわけだ。こうなれば自分を騙してでも、自分の手を動かさねばならない。

 まず考えたのは、最初のハードルをいかに低くするかということだ。自分は何にもできないダメ人間という大前提を設けて、徹底的にハードルを低くする。自分でも「そりゃないだろ」と思うくらいまでハードルを低くする。

 そして、そのノルマが達成できればOKとする。高さ1ミリのハードルでも乗り越えることができれば「おめでとう」なわけだ。

 例えばなんだろうな。読書をしなければいけないのに、どうしてもそれに取りかかれないとしよう。

 自分の場合なら、まずは「毎日1回、机の上に本を出す」という課題を設ける。机の上に読む本を置くだけ。ホントに置くだけ。本棚から出して、ぽんと置く。表紙を見る。そして、本棚に戻す。それでその日のノルマは達成。できることならここでカレンダーにでも「○」をつけておく。あとはもう自分の好きなことをすればいい。

 これでいいの? これでいいのだ。そもそも、本を出すということすらできないから悩んでいたのだ。こういった低いレベルから始めないとダメなくらい、何もできない「踏み出せない」人間だったのだ。ここは徹底して、現実と自分の能力に対して冷静に向き合うこと。これで「きょうは本を読んだ」ということにしておく。

 本を机の上に置くというこの作業を、そうだな、最低1カ月は続ける。1カ月すら続かなかったら、この例では読書だけど、やろうと思っていることをあきらめるべきだろう。これすらできないならば本当に内心やりたくないことであり、やることにそのものに意味がない。他のことをやった方がいい。

 1カ月続いた? 続けることができたら次のステップ。「本をぱらぱらとめくる」。めくるだけでいい。ぱらぱらとめくる。それだけ。読まなくていい。それができたら、やっぱり本棚にしまう。これでノルマは達成。あとは好きなことをやっていい。

 1カ月続いた? 続けることができたら次のステップ。「1行だけ読む」。1行だけでいい。それだけ。読んだらしおりをはさんで本棚にしまう。これでノルマは達成。あとは好きなことをやっていい。

 1カ月続いた? 続けることができたら次のステップ。「1ページだけ読む」。1ページだけでいい。それだけ。読んだらしおりをはさんで本棚にしまう。これでノルマは達成。あとは好きなことをやっていい。

 1カ月続いた? 続けることができたら次のステップ……… 

 おわかりいただけただろうか。

 最初は馬鹿馬鹿しいまでに低ハードルのノルマを設定し、とにかくそれができるようにする。そして、次はほんの少しだけハードルを高くして、やはりそれが続けられるようにする。この繰り返しなのだ。

 このサイクルの狙いは「習慣化」を身体に染みこませる点にある。踏み出せないハードルの高さというのは、この習慣化ができていないことに原因がある。逆に言うと、習慣化できていれば何も考えずに読書だろうが何だろうが、ハードルをぽんと無意識に乗り越えることができるのだ。

 だいたい、机の上に本をぽんと置くのを半月もやってれば、いい加減いつの間にかぱらぱらと本をめくって何ページか読むくらいのことはしてしまうものだ。それくらい低いハードルを確実に習慣化していく。これが狙いだ。

 こんな馬鹿馬鹿しいまでに低いハードルだが、これを無意識にでもこなせるようになったと気がついた時、それは確実に自信になる。頭悪いくらいまでに小さな成功体験ではあるが、何もできない馬鹿のような人間には刺激になるものだ。それは確実に次のステップに寄与する。

 「習慣化」する手法を身につけると、身の回りがはかどる。しかしその「習慣化」は難しい。難しいのは無意識にハードルを高くしているからだ。ならばそのハードルを低くすればいい。そして「習慣化」を身体的に体得する。そのためには、説明したように、ハードルを徹底的に低くして確実にこなせるようになったら、少しずつそれを高くしていくという、その繰り返しをするほかにない。

 どう? これならできそうじゃない?