如何ともしがたい何か

便所の壁に殴り書き

戦争は冷静に見た方がいい

 ウクライナ情勢が大変になっているが、もし日本に隣国が攻めてきたら「酒を飲んで話し合えば大丈夫」と言っていた手合いはどうしているのだろうか。ウクライナを支援する活動とかしてそうだけど。

 世間を見るに、圧倒的にウクライナ支持の声が多いが、ロシアを支持する人民も少なからず多く、日本国内も混沌としている。まあ、ここでウクライナがいいかロシアがいいかという議論はしない。

 が、どちらの勢力もその判断の源が、大局的な政治闘争の延長戦上としての軍事侵攻ではなく、現地から届く報道によるただのセンチメンタリズムに基づく賛成・反対の判断でしかない点は問題視した方がいい。

 彼の地では高度な情報戦が繰り広げられている。さらにはロシアはソ連時代からその手の手練手管を弄する国だった。もっとも、ずいぶんと最近はいい加減になっているようだがそれは置いておく。

 センチメンタリズムに基づく政治的判断は、情報戦によって左右されるわけであって、彼の地の人々をかわいそうとか感じるのはいいが、100%自分の価値判断に落とし込むのは一度呼吸を置いてからにしたほうがいい。情報戦に操られてしまう。

 まあ別にどうでもいいけど。

忙しさは悪

 「仕事を頼むときは忙しいやつにこそ頼むべき」という面白ビジネスTipが耳に入ってきた。むかしからよく言われる話である。忙しいやつは要領がいいので、どんどんと仕事を頼んでもこなしてくれる。暇そうなやつは要領が悪いのでやめとけ、という理屈である。

 一理あるが、実に危ういと考えている。周辺の文脈を理解しないで、この文章だけをそのまま信じるお気楽バカ上司というのはどこにでもいるもので、フォローも何もなくただただ忙しい部下に仕事を押しつけるという風景は、日本各地で阿鼻叫喚の風物詩になっているはず。

 危ういと考えるのは、これは仕事を頼む側だけの理屈であり、仕事を頼まれる側のことがまったくもって抜け落ちている点。頼まれた側の立場をまったく考えていない理屈だということだ。押しつけられた身にもなってみろよ、と。

 本来の理屈通り、頼まれる側が本当に要領がよくて次々と仕事をこなす能力があればいいが、その点が欠落して、ただただ忙しさをつくり出せばいいと文意が都合のいいように解釈されかねない。要領いい人が前提なのに、忙しい状況を強要が前提になってしまう。要領いい人がいてこそなのに、要領悪くても忙しければいいという誤った解釈がまかり通る危険性が非常に高い。

 日本人はみんな真面目なので、要領がよかろうが悪かろうが、みんな仕事をこなすはず。だけど、結果はどうなるだろうか。求められていた成果が得られないくらいならまだいいだろう。仕事を押しつけられた仕事量や責任感に撃沈して病んでしまったり、自死を選んでしまったり、そういうことがありうる。そして、誤った解釈で仕事を押しつけた側は責任を取らない。それが日本という国だ。

お前らみたいな小市民がネットで正義の味方になんかなれないよ

 一例として、マスコミ叩きで悦に入ってる人って多いなあと思う。叩き返されることがないから、思う存分叩いて自分だけ気持ちよくなるというオナ○ー紛いのことに興じている人は実に多い。まあ、マスコミ批判していれば逆に誰からも批判されず、自意識過剰なネットの有象無象からは支持される。そりゃ麻薬のようにやりたくなる。正しい批判ならまだいいけど、自分こそマスコミみたいに適当な情報で謎な理論つくってるんだから世話ないという。ネットでのマスコミ批判は、残念ながら、現実世界で何の影響力も持っていない小物みたいな連中が、唯一優位に立てるほんの小さなお遊戯に過ぎない。優位に立てると書いたが、それすらも残念ながら幻想でしかないのだが。

 「マスゴミ」という単語を好んで使う有象無象は、ネット上でいつのまにかつくりあげられた「マスゴミ」という虚像を喜び勇んで叩く。ここでいう「マスゴミ」はマスコミとは全然違う概念だ。ネット上に無数に転がる事象の中から、おいしそうな批判の種だけを選んで、勝手に「マスゴミ」という大きな勢力を構築している。妄想で。妄想で出現した概念を叩いたところで、マスコミは痛くないだろうという。

 ネット上にはマスコミを叩ける(と思われてるが実際はそうでもない)種はいくらでも探せば手に入る。それを裏書きする情報だけを仕入れて、勝手に妄想を広げていく。それらに反する正しい情報があったとしても、ガセネタだなんだで信じないでいられるお気楽な立場だし、だからどれだけ経ってもマスコミはまだまだ残っているのだよ。現実を見ようぜ。部屋に引きこもってスマホだけいじってないで、町へ出ようぜ。

 だいたい新聞記事が匿名で好き勝手に書かれてるっていうけど、新聞開いてみたら署名記事多いよ。全部じゃないけどね。実際に新聞を読まずに批判とは気楽だよな。ネットに掲載されている記事だって署名あるだろ。いつのころからか、匿名で記事を書く記者はけしからんって言ってるお気楽な人が湧いて出てきたけど、実際に新聞を開いてみろっての。堂々と実名さらして記事かいてる新聞記者がかわいそうになってくるよ、さすがに。お前らが一番嫌いな毎日新聞を開いてみ。お前らが変態呼ばわりする人たちが、堂々と自分の名前で記事書いてるから。

 ネットの断片的な情報だけで自分の論を構築するのは危険だ。そんな有象無象が集合したときの化学反応の結果が、アメリカでの陰謀論者が大暴走した事件の数々である。日本でだってその萌芽はある。何とは言わないが。ネット全盛で、自分が知りたい情報しか収集しないでどんどんと明後日の方向に行く人が多いと言われ始めてずいぶんたつ。ネットは人を賢くしていない。社会の分断と、バカの連合体づくりにしか役になってない。すべてが幻。

 みんな、現実を見ようぜ。目の前の現実に向き合おうぜ。お前はただの一市民。正義の味方になんかなれないんだよ。とりあえず目の前を流れるお刺身にタンポポ乗せる作業を続けようぜ。つまらないかもしれない。自分はこんなので終わる人間じゃない。そう思うのもよくわかるよ。だけど認めようよ。お前はただの小市民。何の発言力も無い小さい人間なんだよって。だけどお前みたいな小さい存在の人間がたくさんいるからこの社会は回るんだよ。不必要な人間じゃないからそこは自信持てって。堂々と胸を張ってタンポポ乗せればいいんだよ。

 そして、謙虚に学ぼうぜ。本当の世界の姿をよ。